
第23話 大塚家具は小売業の原点を見誤った
ブログ大塚家具の業績不振を見るにつけ、
小売業の業績を上げるための原点を
見誤ってしまったからなのではないかと、
悔しい思いでいます。
小売業が業績を上げるための原点とは、
難しい話ではないのです。
ただ、ひたすらに、
店頭で「お客様に喜んで買っていただく」ために、
お客様の声に耳を傾けて親身な接客をするだけのことなのです。
会社の規模が大きくなると、この原点が見えなくなりがちです。
見えなくなったことで、業績が悪化していくケースが
結構あるように思います。
会社の規模の大小にかかわらず、小売業の業績を上げるためには、
店頭で販売スタッフ一人ひとりが、確実に売っていくことが
基本中の基本です。
これができなければ、絶対に売上が上がるはずがないのです。
大塚家具 平成30年 12月期 第2四半期決算短信
売上高 188億25百万円 前年同期比 11.9%減
内訳:1.店舗(店頭・EC・販売提携)
売上高 176億39百万円(前年同期比13.2%減)
●EC売上高は前年同期比 168.6%
●住宅事業者等の販売提携売上高は前年同期比156.9
●店頭売上高については記載なし
2.コントラクトが11億19百万円(前年同期比8.2%増)
上記の決算短信を見ると、店頭・EC・販売提携ごとの売上高の記載がないことと、
店頭売上高とその前年同期比の数値の記載がないため、何とも言えませんが、
店頭売上高は、店舗売上高の前年同期比13.2%減よりも悪いことは明らかです。
会社の売上高の大半を占めているであろう店頭の売上高減が、業績悪化の致命的な原因と言えるでしょう。
また、店頭業績悪化の原因は、
大塚久美子社長が、店頭販売の手法を大きく変えてしまったことにあるかと思います。
お客様に聞かれたときにしか接客しない販売手法では、商品が思うように売れるはずがないのです。
大塚家具の従業員1,489名、直営店19店舗とありますが、
例えば、店頭で販売している社員が1,000名として、その1,000名それぞれが毎日50万円ずつ売ってくれたとしたら、
半年間で910億円の売上高になります。
今回の決算短信による売上高の、なんと5倍に近い売上高になるのです。
私自身が銀座店と新宿店に何度か来店した時のことですが、商品を見ていてもスタッフは声をかけにきません。
これでは、販売チャンスを逃しているとしか言いようがないのです。
会員制を古臭いと否定しても、見ているお客様にさえ「聞かれなければ声をかけない」というのは、
売ることへの勘違いとしか言いようがありません。
こういった販売手法に対する勘違いが、日々の売上の悪さにつながり、年間売上高の悪化に拍車がかかっていったのだと言えます。
どの小売業にも当てはまることですので、この機会に、自社の販売手法がどうなっているのか、確認することをお勧めいたします。
ともあれ、大塚久美子社長には、この販売手法に対する勘違いに気づいていただき、
一刻も早く店頭で売れる体制を整えていただき、蘇られますことを切に願います。